田んぼの水管理とは?稲の成長時期に合わせて調整します

農作業

この記事では、田んぼの水管理について解説します。

田植え後から収穫まで、稲が大きくなりお米を実らせるためには、多くの水が必要になります。しかし稲の成長時期や気候などによって、適切な水の量は変わってきます。ちょうどよい状態に管理することが、おいしいお米づくりには欠かせません。

そこで今回は、田んぼの水管理にはどのような工程があるのかをまとめました。参考に読んでみてください。

田んぼの「水管理」が必要な理由

普段わたしたちが食べている「うるち米」は水の多い環境に適している稲で、そのほとんどが田んぼで育てられています。

なぜ田んぼが適しているのかと言うと、じつは稲の根っこは給水力が弱いため、水に浸していないと枯れてしまうからなのですね。つまり田んぼは、お米を育てるのにピッタリの場所というわけです。

他の作物たとえば小麦などは、根っこが水に浸かっていると呼吸ができなくなって腐ってしまいます。しかし稲は、茎や葉から吸収した酸素から根っこまで届けられる構造になっているので、腐らずに育つことができるのです。

とはいえ稲の根っこも成長期には、やはり多くの酸素が必要です……。そこでお米づくりでは、田んぼにずっと水を張っておくのではなく、時期に合わせて水を抜いたり量を調整しています。

細かく水の管理を行うことによって、稲が必要な水を十分に取り入れながら、酸素も吸収できる環境を作っているのですね。

稲の成長時期と田んぼの水管理

田植えが終わった後、稲の成長は5つの時期に分けることができます。

  • 活着期|苗の根が田んぼの地中に根付く
  • 分げつ期|稲が栄養を吸収して、茎が枝分かれして増えていく
  • 幼穂(ようすい)形成期|穂の発育が始まる時期、茎の中に穂(お米)のもとができる
  • 穂ばらみ期|出穂(しゅっすい)前の10日前後、茎が穂を包むような形
  • 出穂(しゅっすい)期|約半数の茎から穂が出ている状態
  • 登熟(とうじゅく)期|花が咲いた後に実が成熟する時期
  • 成熟期|お米(種子)が完全に熟す前のもみが9割近く黄色くなった状態

※「分げつ」というのは、稲の茎が枝分かれしていくこと。もとの茎から新しい葉が出て、稲の茎に成長していきます。

このような分げつや穂の状態など、稲の成長時期に合わせて、田んぼに水を入れたり抜いたりして水管理を行っています。

  • 深水|田んぼに十分な水を貯める、水深は5cm以上
  • 浅水|田んぼの水を浅く保つ、水深は3㎝程度
  • 間断潅水(かんだんかんすい)|田んぼに水を入れる・抜くを数日ごとに繰り返す
  • 中干し|田んぼの水を一時的に排水して土を乾燥させる
  • 湛水(たんすい)|田んぼを水をはって貯め続ける状態
  • 落水|田んぼから水を完全に排水して内を乾燥させる

「間断断水」とは

間断潅水(かんだんかんすい)」は、一定の間隔をおいて水を入れる・水を抜く作業を数日ごとに繰り返します。田んぼの土へ酸素を供給して、稲の成長を促します。

「中干し」とは

中干し」は田んぼから水を抜いて、土にヒビができるまで乾かす作業です。酸素が少なくなった土へ酸素を供給します。

水を抜くことによって肥料となる窒素の吸収を抑え、穂とならない茎(無効分げつ)を抑制する効果もある。田んぼの土のリフレッシュですね。

田んぼの水管理に重要な「雪解け水」

田んぼの水管理をする際に、夏の暑い時期心配になるのが「水不足」です。

水は山や川から引いてきて、田んぼの中に入れています。田中農場の農地があるのは、鳥取県八町。氷ノ山のふもとでお米を育てているので、氷ノ山から流れてくる水が田んぼの水になっています。

逆に氷ノ山から流れてくる水が少なくなると、水が足りなくなるというわけです……。

日照りが続いたなどそのときの天候も影響するのですが、一番重要なのは「雪解け水」です。その年に雪がしっかり降っていれば、この雪が春には溶けてミネラルを多く含んだ地下水になります。

田んぼに水が必要になる春から夏にかけて、どれくらいの雪解け水が山から流れてくるかが、田んぼで水不足を起こすかどうかを分けているのですね。

まとめ 水管理を行っておいしいお米を育てましょう

田中農場では広大な農地で米作りをしているので、田んぼの数もとても多いです。

そのためエリアごとに担当者を決めています。3人1チームになって、水管理や草刈りなどの作業を一緒に行っています。田んぼの水や稲の状態は、目視で確認していますよ。

  • 田んぼを囲っている畦(あぜ)から水が漏れていないか?
  • 田んぼの水が少なくないか?

などをチェックしています。

また田んぼの水は、常にいっぱい入れておけばいいわけではありません。稲の成長時期に合わせて、水を貯めたり抜いたりを調整しています。

その他には……、水路を開けて水を入れているのですが、水路は近隣の農家さんとも共有して使っている場所もあります。下流の田んぼで水がまわるように、気を付けながら行っています。

今回は田んぼの水管理について紹介しました。細かく水の調整をすることで、稲の成長を後押しすることができます。田んぼの水管理を行って、美味しいお米ができるように頑張りましょう!

お米作りの全体の流れについては、「美味しいお米ができるまで!米農家の年間スケジュールと作業の流れ」にまとめています。こちらの記事も参考に読んでみてください。

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